株式の相続手続き完全ガイド!必要書類・税金・節税対策まで解説

query_builder 2025/02/12
著者:鶴見総合法律事務所
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「相続した株式、どう管理すればいいのか分からない…」「相続税の額が気になるけれど、どうやって計算すればいい?」また、「株式の相続をスムーズに進める方法が知りたい」という方も多いのではないでしょうか。


そこで、この記事では、相続株式を適切に管理するための具体的な手順と、税制や節税の重要ポイントについて、専門家の視点から解説していきます。最後まで読むことで、あなたも「株式相続」に関する不安を解消し、実際に役立つ知識を手に入れることができるはずです。


相続の株式は、放置してしまうとその後の税金や手続きに大きな影響を与える可能性があります。専門的な知識を持つことが、損失を回避し、スムーズに相続手続きを進めるための第一歩となります。

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鶴見総合法律事務所では、法律に関する幅広いサービスを提供しております。特に相続に関する問題については、専門知識と豊富な経験を持つ弁護士が親身になってサポートいたします。相続人間でのトラブルや遺言書作成、遺産分割協議など、複雑な問題にも丁寧に対応し、円満解決へ導きます。どんな小さな疑問でもお気軽にご相談ください。私たちは、お客様の大切な問題をしっかりと解決できるよう、全力でサポートいたします。

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株式を相続するとはどういうことか?

株式の相続とは?

株式の相続とは、被相続人が所有していた株式を相続人が引き継ぐことを意味します。現金や不動産と同じように、相続財産の一部として取り扱われますが、株式には特有の取り扱いがあり、相続時の手続きや評価方法が他の財産と異なる点があります。相続される株式は大きく分けて、上場株式と非上場株式に分けられます。


上場株式は市場で取引されている株式で、相続時の評価は相続発生日の終値や平均株価を基準に決定されます。一方、非上場株式は市場で自由に売買できないため、評価方法が異なります。非上場株式の評価は、財務状況や利益状況に基づいて決まるため、相続税の計算が複雑になることがあります。


株式相続にはいくつかの基本的なポイントがあります。まず、株式は相続財産として計上され、相続税の対象となります。また、名義変更が必要です。名義変更を行わなければ、相続人は配当金の受け取りや株主総会への出席ができなくなります。さらに、上場株式は市場価格で評価される一方で、非上場株式は「類似業種比準方式」や「純資産価額方式」などの異なる計算方法が適用されます。株式は不動産のように簡単に分割できないため、相続人間でどのように分けるかを慎重に検討することが必要です。


株式を相続する際には、いくつかのリスクが伴います。株価の変動によるリスクや相続税の支払い負担、さらに兄弟間でのトラブルが発生する可能性もあります。名義変更手続きが遅れると、株主権を行使できなくなったり、配当金を受け取れない場合もあります。


これらのポイントを理解し、適切な手続きを行うことが、スムーズな相続に繋がります。

株の相続手続きの流れ(名義変更、証券会社対応)

株式の相続手続きは、通常の財産相続と異なり、証券会社や金融機関での手続きが必要となります。手続きの流れは以下の通りです。


まず、被相続人が亡くなったことを確認し、遺産調査を行います。被相続人が所有していた株式を確認するために、財産目録を作成します。もし証券会社の取引口座が存在する場合は、その証券会社に連絡を取り、必要な手続きを進めます。


次に、遺言書の確認を行います。遺言書があれば、その内容に従って株式の分配を行います。遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、株式の分け方を決定します。


証券会社への連絡を行う際には、必要書類を準備しなければなりません。証券会社によって必要な書類は異なるため、事前に確認しておくことが重要です。一般的に必要とされる書類には、被相続人の死亡を証明する戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書(遺言がない場合)、株式の名義変更申請書などがあります。


その後、書類を証券会社に提出し、審査を受けます。審査が完了したら、相続人名義の口座に株式が移管されます。この移管手続きが完了すれば、相続した株式を管理することができます。


相続後、株式の管理や売却をどうするかを決定します。保有し続ける場合もあれば、売却して現金化することもできます。売却する場合は、証券会社を通じて株式を市場で売却し、その売却益に対して譲渡所得税などが課せられるため、税金の計算が必要です。


手続きをスムーズに進めるためには、遺言書を事前に作成することが非常に有効です。遺言書があると手続きが簡略化され、相続手続きの負担が軽減されます。また、証券会社によって手続き方法が異なるため、相続前に証券口座を整理しておくことも大切です。さらに、株式が複数の証券会社に分散している場合は、相続手続きが煩雑になるため、一元管理をしておくことをお勧めします。

株の相続税はどれくらい?計算方法と節税対策

相続税の基本計算(評価額、税率)

相続税は、被相続人の財産を受け継ぐ際に発生する税金であり、株式もその対象となります。株式の相続税額を計算するには、以下の3つの要素を正確に把握する必要があります。

  1. 課税対象となる評価額の計算
  2. 法定相続人ごとの基礎控除額
  3. 適用される相続税率


1. 株式の評価額の計算

相続税の計算の基礎となるのは、相続時点での株式の評価額です。評価方法は株式の種類によって異なります。

  • 上場株式 上場企業の株式の評価は、相続発生日前後3ヶ月の終値の平均、または相続発生日の終値のいずれか低い方が適用されます。
  • 非上場株式 未上場企業の株式は市場価格がないため、「類似業種比準方式」や「純資産価額方式」などの評価方法を用います。

2. 相続税の基礎控除額

相続税には基礎控除額があり、以下の計算式で求められます。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

たとえば、法定相続人が3人の場合、基礎控除額は4,800万円となり、この金額以下の財産には相続税がかかりません。

3. 相続税率の適用

基礎控除額を超えた財産については、以下の税率が適用されます。

課税価格 相続税率
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15%
5,000万円以下 20%
1億円以下 30%
2億円以下 40%
3億円以下 45%
6億円以下 50%
6億円超 55%

相続税がかからないケースとは?

相続税はすべてのケースで発生するわけではなく、特定の条件下では非課税となる場合があります。


1. 配偶者控除の適用

配偶者は相続財産の1億6,000万円または法定相続分のいずれか高い方まで非課税となる特例があります。

2. 基礎控除内に収まる場合

先述の基礎控除額(3,000万円 + 600万円×法定相続人の数)を下回る場合は、相続税の支払い義務はありません。

3. 相続税の特例(小規模宅地等の特例)

法人が発行した株式で、一定の事業用に利用されている場合、評価額が減額されるケースがあります。

4. 生前贈与を活用する

生前贈与を計画的に行うことで、相続財産そのものを減らし、相続税の発生を抑えることが可能です。


相続した株を売る際の税金(譲渡所得税との関係)

相続した株を売却する際には、相続税とは別に譲渡所得税が発生します。これは、売却時の取得価格と相続時の評価額との差額に対して課税されます。

1. 譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税は以下の計算式で求められます。

譲渡所得税 = (取得費+ 譲渡費用)-特別控除額

ここで重要なのは、相続した株式の取得費は「相続税評価額」となる点です。例えば、相続時に1株1,000円で評価された株式を1,500円で売却した場合、差額500円が課税対象となります。


株式の評価額の決定方法(公的基準と市場価格)

株式の評価額は、相続税の計算において非常に重要な要素となります。株式の種類により評価方法が異なり、公的基準や市場価格をどのように適用するかが決まります。


まず、上場株式については、評価方法として市場価格が明確なため、いくつかの基準が設けられています。具体的には、相続発生前後3か月間の終値の平均や、相続発生日の終値、直前6か月間の終値の平均などがあります。評価額としては、これらの中で最も低い価格が採用されるため、相続税額を抑えることができます。


次に、非上場株式の評価方法についてですが、市場で自由に取引されないため、評価が複雑になります。非上場株式の場合、主に「純資産価額方式」、「類似業種比準方式」、および「配当還元方式」が使用されます。純資産価額方式は、会社の純資産を基準に算定される方法で、類似業種比準方式は、上場企業の財務データを基に評価します。配当還元方式は、過去の配当実績をもとに評価する方法です。


また、相続税を軽減するためには、戦略的に生前贈与を活用することが非常に有効です。生前贈与の活用にはいくつかの方法があります。


まず、暦年贈与制度では、1年間に110万円までの贈与が非課税となります。このため、毎年少額ずつ贈与を行うことで、相続財産を減少させ、相続税の負担を軽減することができます。


また、相続時精算課税制度では、60歳以上の親から20歳以上の子へ、2,500万円までの贈与が非課税となります。この制度では、相続時に贈与額が合算されて相続税が計算されるため、特に大きな贈与を行いたい場合に有効です。


さらに、事業承継を行う際には、非上場株式の生前贈与が有効です。特に、事業承継税制を活用することで、一定の条件下で贈与税や相続税が猶予または免除されるメリットがあります。この方法は、スムーズに株式を移転できるだけでなく、相続税負担を大きく軽減することが可能です。

株式相続の手続きにかかる費用と必要書類

名義変更に必要な書類と流れ

株式を相続した場合、名義変更の手続きを適切に行わなければ、配当金の受け取りや株式の売却などの権利を行使できなくなります。そのため、証券会社や株式を発行している会社ごとに手続きの流れが異なるため、事前に必要な書類を準備して、スムーズに進めることが重要です。


名義変更に必要な書類としては、まず、被相続人(亡くなった人)の死亡届の写しが必要です。これは死亡を証明するための重要書類です。次に、遺産分割協議書または遺言書が必要となります。これにより、相続人間で株式をどのように分けるかを決めた内容が証明されます。また、相続人の戸籍謄本が必要で、これは相続関係を証明するために使います。さらに、相続人の印鑑証明書が求められます。これは手続きの正当性を証明するために必要な書類です。そして、株式の保有を証明する書類として、証券会社の口座明細や株券が必要となります。


名義変更の基本的な流れは、まず必要書類を収集し、その後、証券会社や発行会社に連絡をして、どのような手続きが必要かを確認します。その後、書類を提出し申請を行い、証券会社や発行会社が審査と承認を行います。最終的に、名義変更が完了すると、証券会社から完了通知が届きます。


名義変更の手続きには、通常1か月から3か月ほどかかることが多いため、早めに対応することが大切です。

名義変更の費用(証券会社ごとの違い)

名義変更には、証券会社ごとに異なる手数料が発生する場合があります。特に、非上場株式の場合は、発行会社ごとに対応が異なるため、事前確認が必要です。


証券会社ごとの名義変更手数料

相続した株式の名義変更手続きを行う際、証券会社ごとに手数料が異なりますが、主要な証券会社では名義変更手数料が無料のところが多いです。

証券会社ごとに名義変更にかかる所要期間が異なりますので、手続きを早めに進めたい場合は、各証券会社の所要期間を考慮することが重要です。

※ 非上場株式の名義変更には、別途費用がかかる場合があるため、発行会社に確認が必要。


1. 費用が発生するケース

通常、証券会社が管理する上場株式の名義変更手数料は無料ですが、以下のケースでは費用が発生する可能性があります。

  • 未公開株(非上場株式):発行会社の規定により、名義変更手数料が発生。
  • 信託銀行を通じた手続き:発行会社によっては、信託銀行を介して名義変更を行う必要があり、その場合は事務手数料が発生。
  • 株券が発行されている場合:旧式の紙株券を名義変更する際に、手数料が必要となることがある。


名義変更を進める際には、発行会社や証券会社の手続きを事前に確認し、余計な費用を避けることが大切です。


名義変更しないとどうなる?放置した場合のリスク

株式の名義変更を放置すると、さまざまなリスクが発生します。特に相続人が複数いる場合、名義変更を怠ることでトラブルの原因となることがあるため、注意が必要です。


名義変更を放置した場合、主なリスクとしては、まず配当金を受け取れなくなる点が挙げられます。名義変更が完了しない限り、相続人は株式の配当金を受け取ることができません。また、名義が被相続人のままだと、相続人は株式の売却手続きを進めることができません。このように、名義変更をしないままだと、相続人間で意見の相違が生じやすくなり、遺産分割を巡るトラブルが発生することもあります。さらに、遺産分割協議が行われない場合、法定相続分に基づいて株式の権利が自動的に分割されるため、意図しない結果になることもあります。


これらのリスクを避けるためには、できるだけ早く名義変更の手続きを進めることが重要です。また、手続きに不安がある場合は、弁護士や税理士などの専門家に相談するのも一つの方法です。証券会社と定期的に連絡を取り、手続きの進捗状況を確認することも、遅延を防ぐために効果的です。


さらに、相続した株式を売却した場合には、確定申告が必要になることがあります。相続税と譲渡所得税の関係を理解しておくことが重要です。相続税は株式の評価額に基づいて計算され、相続財産全体に対して課税されます。一方、譲渡所得税は相続後に株式を売却した場合に発生し、売却益に対して課税されます。このため、相続後の売却に備えて税金の取り扱いについて確認しておくことが必要です。


2. 確定申告が必要なケース

相続税の申告は、相続発生から10か月以内に行う必要があります。相続財産の合計額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続税の申告が義務となります。申告しないと、税務署から指摘されることがありますので、期限内に適切な手続きを行うことが大切です。


また、相続した株式を売却して利益が出た場合には、譲渡所得税の申告も必要です。この場合、相続した株式を売却した時の利益に対して課税されます。利益が出た場合は、確定申告を通じて譲渡所得税を支払わなければなりません。


相続税の計算方法については、株式の評価額(相続時の時価)を基に課税額を算出します。具体的には、相続時における株式の評価額が、相続税の基準となります。


譲渡所得税の計算方法は、売却価格から相続時の株式評価額を差し引いた金額が譲渡所得となり、この譲渡所得に対して税金が課せられます。税率は約20.315%で、内訳は所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%です。

株の相続におけるトラブルと対策(兄弟間トラブルなど)

遺産分割で株式の取り扱いを巡る争い

株式は不動産と同様に分割しにくい資産であり、遺産分割協議においてトラブルが発生しやすい財産の一つです。特に相続人が複数いる場合、意見の不一致が生じ、争いが長期化することがあります。このような争いを避けるためには、事前にしっかりとした対策を講じることが重要です。


まず、株式を巡る典型的な争いとしては、相続人間での評価の違いがあります。株式の価値は市場の状況に大きく左右されるため、相続人によって評価額に対する意見が分かれることがよくあります。また、分割方法においても意見が分かれることがあります。たとえば、ある相続人が株式を売却して現金化することを希望する一方で、別の相続人は株式を保有し続けたいと考える場合です。このような場合、相続人間での意見が対立し、問題がこじれることがあります。


さらに、特定の相続人による独占問題もよく見られます。例えば、ある相続人が過半数の株式を取得することで、企業の経営権を握ることができるため、他の相続人が反発するケースが多く発生します。このような状況は、企業経営における権利の争いを引き起こす原因となり得ます。


これらの争いを解決するための対策としては、まず遺言書を作成しておくことが非常に有効です。被相続人が生前に遺言書を作成し、誰にどの株を相続させるかを明確に指定することで、相続争いを防ぐことができます。また、遺産分割協議を早期に実施し、相続人全員で話し合いを行うことも重要です。早い段階で合意を形成することで、長期的な争いを避けることができます。


さらに、遺産分割に関する問題が複雑な場合や解決が難しい場合には、専門家の介入を検討することが有効です。税理士や弁護士、信託銀行などの専門家に相談することで、適切な解決策を導き出すことができ、相続手続きを円滑に進めることが可能になります。

兄弟で株を分ける方法と注意点

相続人が兄弟姉妹の場合、株式を公平に分配することは簡単ではありません。現金のように物理的に均等に分けることができないため、事前に株式の分割方法を検討することが非常に重要です。


まず、兄弟間で発生しやすい典型的なトラブルとして、「兄が経営権を握るのではないか?」という懸念があります。もし特定の兄弟が過半数の株式を取得すると、その兄弟が会社の意思決定を独占することができるため、他の兄弟が反発することがあります。このような状況では、経営権の集中を避けるための調整が必要です。


また、株式を売却するか保有するかの意見の相違もよくあります。一方の兄弟が株式を売却して現金化することを希望し、もう一方が長期的に株式を保有したいと考える場合、意見が対立しやすく、双方が納得できる解決策を見つけることが求められます。


これらの問題を解決するための方法としては、いくつかの選択肢があります。ひとつは換価分割です。この方法では、株式を売却して得た現金を相続人間で分配することができます。この方法は、相続人が公平に財産を受け取ることができるため、トラブルを避けるために有効です。


もう一つの解決策は代償分割です。特定の相続人が株式を取得する代わりに、他の相続人に現金や不動産を譲渡する方法です。この方法により、株式の取り分を持たない相続人に対して適切な補償を行うことができます。


さらに、兄弟間で株式を共有名義にすることは避けるべきです。株式を共同所有することは、後々の意思決定を妨げる可能性が高く、経営に関する重要な判断が難しくなるため、できるだけ単独で所有するように調整することが望ましいです。

株式を相続するメリット・デメリット

株式を相続するメリット・デメリット

株式の相続にはメリットとデメリットがあるため、事前に理解しておくことが大切です。

1. メリット

  • 資産としての価値維持:現金よりもインフレの影響を受けにくい
  • 配当金の受け取り:安定した配当収入を得られる可能性がある
  • 株価上昇の恩恵:将来的に株価が上がれば、相続時の評価額より高く売却できる
  • 相続税の節税効果:現金よりも相続税評価額が低くなるケースがある


2. デメリット

  • 株価変動リスク:株価が下落すると資産価値が減少する
  • 名義変更や手続きの手間:売却や配当の受け取りには名義変更が必須
  • 相続税の負担:相続財産として計上されるため、多額の相続税が発生する可能性がある
  • 遺産分割の難しさ:株式を複数の相続人で分割するのが困難


これらのメリット・デメリットを考慮し、相続した株式を売却するか、保有するかを判断する必要があります。

相続した株を管理する方法

相続した株を適切に管理するためには、いくつかの重要なポイントを押さえておくことが大切です。


まず、証券会社の口座管理についてですが、相続後の株式は相続人名義の証券口座で管理することになります。これを行うためには、証券口座の名義変更を早めに行うことが必要です。また、複数の証券会社に分散している株式を一つの口座にまとめることも、管理を簡便にするために有効です。さらに、証券口座のログイン情報は整理して、必要に応じて家族と共有することも重要です。


次に、定期的な評価とリバランスが必要です。株式の価値は市場の変動によって変わるため、定期的に株価をチェックし、評価を行うことが求められます。また、配当金を受け取る場合は、税金の計算を忘れずに行う必要があります。必要に応じて、売却して資産のバランスを調整することも考慮しましょう。


株式の管理が難しい場合には、専門家の活用を検討するのも賢明です。税理士には相続税申告や株式売却時の税金計算をお願いすることができ、証券会社では名義変更や株式売却のサポートを受けられます。また、ファイナンシャルプランナーに相談すれば、資産運用や分散投資のアドバイスを受けることができます。


相続した株式を適切に管理し、資産を守るためには、専門家の助言を受けながら運用していくことが非常に重要です。

株式相続の特例と有利な制度

事業承継税制の活用

事業承継税制は、中小企業の後継者が株式を相続する際に、相続税の納税負担を軽減するために設けられた税制優遇措置です。この制度には、一般措置と特例措置の2種類があります。一般措置では、相続税の80%が猶予され、特例措置では相続税の100%が猶予されます。


この制度を活用することで、後継者の資金負担を大幅に軽減でき、事業継続がしやすくなります。適用要件としては、事業主が代表取締役であったこと、相続人が事業を引き継ぐこと、一定期間事業を継続することが求められます。


メリットとしては、相続税の負担軽減と事業の継続がしやすくなる点が挙げられます。一方、デメリットとしては、申請手続きが複雑であり、事業を継続しなければ税金の猶予が取り消される点です。

非上場株式の相続と特例措置

非上場株式は市場価格が存在しないため、相続時に適切な評価額を算出することが重要です。評価方法には、類似業種比準方式(上場企業の株価を基準)、純資産価額方式(会社の資産・負債を基準)、配当還元方式(配当金を基準)があります。これらの評価方式を組み合わせて、非上場株式の評価を行います。


また、非上場株式には特例措置があります。事業承継税制と連動した自社株の相続税納税猶予制度では、後継者が取得した非上場株に対する納税が猶予されます。さらに、相続時精算課税制度は、60歳以上の親からの生前贈与に適用され、適用条件を満たせば相続税を大幅に抑えることが可能です。


さらに小規模宅地等の特例は、被相続人が居住していた宅地を相続する際に、評価額を大幅に減額できる制度です。主に不動産に適用されますが、事業用土地を所有する株式相続にも影響を与えることがあります。特例の適用条件として、相続人が事業を継続すること、事業用の土地であること、申告期限内に届け出を行うことが求められます。この特例を利用すれば、相続財産の評価額を最大80%減額できます。


相続税納税猶予制度は、一定の条件を満たすと相続税の納税が猶予される制度です。適用条件には、中小企業の株式を相続し、後継者が代表者となり、事業を一定期間継続することが含まれます。この制度を利用することで、後継者は資金的な負担を抑えながら事業を引き継ぐことができます。


これらの特例を適用することで、株式相続時の税負担を軽減し、スムーズな事業承継を実現することが可能です。事前に専門家と相談し、計画的に進めることが重要です。

まとめ

相続株式の手続きや管理に関しては、多くの人が不安や疑問を抱えています。「どのように株式を管理すれば良いのか」「相続税がどれくらいかかるのか」「相続時に発生する費用はどのくらいなのか」といった具体的な課題に直面している方も少なくありません。


まず、相続株式において最も重要なのは、正確な手続きを踏むことです。適切な手続きを取らないと、想定外の費用が発生したり、税金が高額になる可能性があります。実際、相続税を滞納した場合、最悪の場合、最大50%の加算税が課されることもあります。このようなリスクを避けるためには、専門家のアドバイスを受けることが強く推奨されます。


また、相続株式に関しては、税制や管理方法を知っていることが節税や効率的な資産継承に繋がります。例えば、相続した株式を一時的に売却し、相続税の額を抑える方法や、株式の評価額を適切に計算する方法など、知識を持っていれば得られるメリットは非常に大きいです。


相続株式の管理は、放置しておくと税務署からの指摘を受けたり、無駄な損失を出してしまう原因となります。しかし、適切な知識を持って対策を講じれば、問題は大きく軽減できます。今回の記事で紹介したように、まずは基本的な手続きを理解し、税制や管理方法について知識を深めることが大切です。


最後に、相続株式に関する不安を解消し、スムーズな相続手続きを進めるためには、早期の準備と、信頼できる専門家に相談することが重要です。あなたの大切な資産を守るためにも、今からできることを少しずつ始めていきましょう。

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よくある質問

Q. 株式を相続する際、名義変更にはどのくらいの費用がかかるのか?

A. 株式の名義変更には証券会社によって異なりますが、一般的には無料~数千円程度の手数料が発生します。例えば、証券会社によっては名義変更手数料が500円~2000円程度であり、名義変更に必要な書類を郵送する場合には、別途郵送料がかかることもあります。また、相続税の申告が必要な場合には、税理士に依頼することで数万円~数十万円の費用が発生する可能性もあります。手続き前に証券会社に詳細を確認し、必要な書類や費用を準備しましょう。


Q. 株式を相続する際、相続税がかからないケースはあるのか?

A. 一定の条件を満たす場合、相続税がかからないことがあります。例えば、相続財産の合計額が基礎控除を下回る場合、相続税は発生しません。基礎控除額は、法定相続人の人数×3000万円+600万円が基本となります。さらに、生前贈与を活用して相続財産を減らすことができる場合もあります。加えて、特定の条件下では、株式に関する特例措置や軽減措置を活用することができるため、相続税が減額または免除される場合もあります。相続前に税理士に相談し、どのような対策が可能かを確認することをおすすめします。

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