相続放棄での必要書類一覧!取得方法と費用など

query_builder 2025/03/18
著者:鶴見総合法律事務所
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相続放棄を考えているものの、「必要書類が多すぎてどこから手をつければいいのかわからない…」「役所で何を取得すればいいの?」と悩んでいませんか?

 

実は、相続放棄には期限があり、必要な書類を揃えられなければ手続きができません。期限を過ぎると、借金や未払いの税金まで相続するリスクがあるため、正しい知識が欠かせません。

 

さらに、戸籍謄本・住民票の除票・印鑑証明書など、家庭裁判所へ提出すべき書類は複数あり、取得方法もそれぞれ異なります。例えば、戸籍謄本は「被相続人の出生から死亡までのもの」が必要になるため、本籍地が異なる場合は役所をまたいで請求する必要があります。

 

しかし、心配はいりません。本記事では、相続放棄の手続きをスムーズに進めるために、

 

  • 必要書類の一覧
  • 取得できる場所と手続き方法
  • スムーズに申請するためのコツ をわかりやすく解説します。

 

放置すれば借金を引き継ぐ可能性もありますが、正しい方法を知れば、余計な手間や費用を抑えつつ、相続放棄の手続きを確実に進めることができます。

 

最後まで読めば、迷うことなく書類を揃え、相続放棄の申請を完了できるようになります。まずは、必要な書類の一覧を確認していきましょう。

相続問題の解決をサポートします - 鶴見総合法律事務所

鶴見総合法律事務所では、法律に関する幅広いサービスを提供しております。特に相続に関する問題については、専門知識と豊富な経験を持つ弁護士が親身になってサポートいたします。相続人間でのトラブルや遺言書作成、遺産分割協議など、複雑な問題にも丁寧に対応し、円満解決へ導きます。どんな小さな疑問でもお気軽にご相談ください。私たちは、お客様の大切な問題をしっかりと解決できるよう、全力でサポートいたします。

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相続放棄の仕組みと必要書類!

相続放棄の基本的な仕組み

相続放棄とは、相続人が相続財産を一切受け取らず、プラスの資産もマイナスの負債も引き継がないための制度です。これは、相続開始後3か月以内に家庭裁判所に申述することで成立します。相続放棄が認められると、法律上は最初から相続人ではなかったとみなされ、相続財産に関する権利や義務が一切なくなります。

 

相続放棄の手続きを行う際のポイント

 

  • 期限内に申請しなければならない
  • 申述書の内容に誤りがないようにする
  • すべての相続人が相続放棄する場合、次の順位の相続人に影響が及ぶ
  • 必要書類を漏れなく準備し、家庭裁判所に提出する

 

相続放棄のメリットとデメリット

 

メリット デメリット
借金や負債を引き継がなくて済む 手続きに時間と費用がかかる
相続トラブルを回避できる 一度放棄すると撤回できない
財産分与の複雑な手続きを省略できる 他の相続人の負担が増える可能性がある

 

相続放棄を行う際の注意点

 

相続放棄をする際には、被相続人の財産を処分したり使用したりすると、単純承認とみなされ相続放棄が認められなくなることがあります。また、相続放棄を行っても、未払いの税金や保証人としての責任が完全に消えるわけではないため、慎重に判断する必要があります。

 

相続放棄に必要な書類一覧

 

相続放棄の手続きでは、続柄によって提出すべき書類が異なります。裁判所に必要書類を正しく提出することで、スムーズに手続きを進めることができます。

 

すべての相続人共通で必要な書類

 

  • 相続放棄申述書
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 申述人(相続人)の戸籍謄本

 

配偶者が相続放棄する場合

 

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 配偶者の身分証明書
  • 家庭裁判所への申述書

 

子供が相続放棄する場合

 

  • 子供の戸籍謄本
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 申述人(子供)の身分証明書

 

兄弟姉妹が相続放棄する場合

 

  • 被相続人の直系尊属の除籍謄本
  • 兄弟姉妹の戸籍謄本
  • 家庭裁判所へ提出する申述書

 

第三順位(祖父母・おじ・おば)が相続放棄する場合

 

  • 被相続人の直系尊属の戸籍謄本
  • 祖父母やおじ・おばの戸籍謄本
  • 家庭裁判所の申述書

 

相続放棄の書類取得費用一覧

 

書類名 費用(目安) 取得場所
戸籍謄本 450円 市区町村役場
住民票除票 300円 市区町村役場
印鑑証明書 200円 市区町村役場

 

書類の取得に関する注意点

 

  • 役所の開庁時間内に手続きを行う必要がある
  • 郵送での請求には日数がかかるため余裕をもって準備する
  • 役所ごとに手数料が異なる場合がある

相続放棄申述書の書き方とダウンロード方法

相続放棄申述書は、家庭裁判所へ提出する重要な書類です。適切に記入し、必要な添付書類とともに提出することで、スムーズに手続きを進めることができます。

 

相続放棄申述書とは

 

相続放棄を正式に申請するための書類で、被相続人の情報や相続放棄をする理由を記載します。

 

相続放棄申述書の書き方ガイド

 

  • 被相続人の氏名と生年月日を正確に記入する
  • 申述人の続柄を記載する
  • 相続放棄を行う理由を簡潔に説明する

 

相続放棄申述書のダウンロード方法

 

相続放棄申述書は、家庭裁判所の公式サイトからダウンロードすることができます。PDFまたはWord形式で提供されており、印刷して記入後、必要書類とともに提出します。

 

コンビニでの印刷方法

 

  • 申述書をUSBメモリまたはスマートフォンに保存する
  • コンビニのマルチコピー機を利用して印刷する

 

相続放棄申述書の提出期限と注意点

 

  • 申請は相続開始を知った日から3か月以内に行う必要がある
  • 期限を過ぎると相続放棄が認められない可能性がある
  • 期限延長の申請も可能だが、家庭裁判所の判断が必要

 

このように、相続放棄を行う際には、適切な書類を揃え、手続きの流れを理解しておくことが重要です。役所や家庭裁判所への申請手順を確認し、必要に応じて専門家のサポートを受けながら進めることで、スムーズな手続きが可能となります。

相続放棄申述書の書き方とダウンロード方法

相続放棄申述書とは?役割と重要性

相続放棄申述書は、家庭裁判所に対して正式に相続放棄を申し立てるための書類です。相続人が「亡くなった人の財産を引き継がない」ことを表明する法的な手続きを行うために必要とされます。

 

相続放棄を行う理由として、主に以下のようなケースが考えられます。

 

  • 被相続人に多額の借金がある
  • 遺産を管理することが困難
  • 他の相続人とのトラブルを避けたい
  • 相続税の負担を回避したい

 

この申述書を提出することで、相続人としての権利や義務がなくなります。ただし、手続きを適切に行わないと単純承認とみなされ、相続を放棄できなくなる可能性もあります。そのため、申述書の書き方や期限を正しく理解することが重要です。

 

相続放棄申述書の書き方ガイド(記入例付き)

 

相続放棄申述書には、いくつかの必須記載項目があります。書類作成時にミスを防ぐために、以下のようなポイントを押さえて記入してください。

 

【記載項目】

 

  1. 被相続人の情報
    • 氏名、死亡年月日、本籍地、住所

     

  2. 申述人(相続放棄をする人)の情報
    • 氏名、住所、続柄(例:子供、配偶者、兄弟姉妹)

     

  3. 相続放棄をする理由
    • 借金が多いため、他の相続人に譲るためなど

     

  4. 提出日
  5. 署名・押印
  6. 添付書類
    • 戸籍謄本
    • 住民票
    • 被相続人の除籍謄本
    • 収入印紙(800円)

     

 

【記入例】(一部抜粋)

 

項目 記入内容
被相続人の氏名 山田 太郎
住所 東京都〇〇区〇〇町
申述人氏名 山田 花子
続柄
相続放棄理由 債務が多いため

 

誤記入を避けるため、裁判所の公式フォーマットを使用し、必ず正しい情報を記入するようにしてください。

 

相続放棄申述書のダウンロード方法(Word・PDF対応)

 

相続放棄申述書の様式は、家庭裁判所の公式ウェブサイトなどからダウンロード可能です。一般的に、以下の方法で取得できます。

 

  1. 家庭裁判所のウェブサイト
    • PDFまたはWord形式のテンプレートを提供
    • 自宅のプリンターで印刷可能

     

  2. 法務局・行政書士事務所のサイト
    • 申述書の書き方と記入例を含むテンプレートをダウンロード可能

     

  3. 弁護士・司法書士のサイト
    • 法的アドバイス付きの相続放棄申述書のサンプルを取得できる

     

 

ダウンロード後は、記入した書類をA4サイズで印刷し、家庭裁判所へ提出する必要があります。

 

コンビニで印刷可能?簡単な取得方法

 

自宅にプリンターがない場合は、コンビニのプリントサービスを利用して申述書を印刷することができます。

 

【コンビニ印刷の手順】

 

  1. 申述書のPDFファイルをスマホやUSBに保存
  2. コンビニのマルチコピー機を操作
  3. ネットプリントサービス(例:セブン-イレブンの「ネットプリント」)を利用
  4. A4サイズで印刷
  5. 署名・押印後、裁判所へ提出

 

コンビニ印刷を利用すれば、24時間いつでも申述書を準備することが可能です。

相続放棄申述書の提出期限と注意点

相続放棄には明確な期限があり、通常は「被相続人が死亡したことを知った日から3か月以内」に申述書を提出する必要があります。

 

【提出期限の重要ポイント】

 

  • 3か月を過ぎると、原則として相続放棄は認められない
  • 期限延長の申請も可能だが、認められるのは特別な事情がある場合のみ
  • 期限内に申し立てをしないと、相続を承認したとみなされる

 

また、申述書を提出しただけでは相続放棄は完了しません。家庭裁判所の審査を経て、正式に受理された後に相続放棄が成立します。そのため、余裕をもって早めに手続きを進めることが大切です。

 

以上のポイントを押さえて、適切に相続放棄の申述を行いましょう。

相続放棄の必要書類の取得方法と発行場所

戸籍謄本・除籍謄本の取得方法と取り寄せ先

相続放棄を行う際には、戸籍謄本や除籍謄本の提出が求められます。これらの書類は被相続人(亡くなった人)の生涯の戸籍を証明する重要な書類であり、正しく取得する必要があります。

 

戸籍謄本は市区町村役場の窓口または郵送で取得可能です。必要な情報を正確に記載し、手続きを進めることが大切です。申請の際には申請者の本人確認書類や手数料が必要となります。

 

取得に際してのポイント:

 

  • 申請者は法定相続人である必要があります。
  • 郵送での請求には定められた書類の添付が必要です。
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍が必要となる場合があります。

 

これらの書類は、発行までに数日かかる場合があるため、早めの準備が推奨されます。

 

住民票の除票の取得方法と注意点

 

住民票の除票は、被相続人が最後に住んでいた住所を証明するために必要です。市区町村役場で申請でき、相続手続きの証明書類の一つとなります。

 

取得時の注意点:

 

  • 住民票の除票は死亡後に一定期間が経過すると取得できなくなる場合があるため、速やかに手続きを行う必要があります。
  • 申請の際には、相続人であることを証明する書類(戸籍謄本など)が求められることがあります。
  • 一部の自治体では、オンライン申請や郵送対応を行っているため、事前に確認することが重要です。

 

住民票の除票は相続放棄の手続きだけでなく、不動産相続などにも利用されるため、適切に管理することが求められます。

 

印鑑証明書の発行手続きと取得場所

 

印鑑証明書は、相続放棄の際に本人確認のために必要な書類です。市区町村役場やコンビニ(マイナンバーカードが必要)で取得できます。

 

取得手続き:

 

  • 事前に印鑑登録をしていることが条件です。
  • 申請時には印鑑登録証(カード)またはマイナンバーカードを提示する必要があります。
  • 手数料は自治体によって異なりますが、一般的には数百円程度です。

 

注意点:

 

  • 相続放棄の申述には、印鑑証明書の有効期限があるため、提出前に必ず確認してください。
  • 代理人が取得する場合は委任状が必要となることがあります。

 

印鑑証明書は他の相続手続きにも必要となることがあるため、余裕をもって準備しましょう。

家庭裁判所での申述手続きに必要な書類

相続放棄を正式に行うためには、家庭裁判所へ必要な書類を提出する必要があります。提出する主な書類は以下のとおりです。

 

必要書類:

 

  • 相続放棄申述書
  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
  • 申述人(相続人)の戸籍謄本
  • 住民票の除票
  • 印鑑証明書

 

書類の提出方法:

 

  • 必要書類を揃えた上で、家庭裁判所へ直接提出または郵送で提出できます。
  • 提出後、裁判所から照会書が送付されることがあるため、速やかに対応する必要があります。

 

申述が受理されるまでには一定の時間がかかるため、期限内に余裕をもって手続きを行うことが大切です。

相続放棄書類の取得にかかる日数は?

相続放棄に必要な書類の取得には、それぞれ一定の期間がかかるため、スケジュールを立てて手続きを進めることが重要です。

 

書類名 取得場所 所要日数
戸籍謄本・除籍謄本 市区町村役場 即日~1週間
住民票の除票 市区町村役場 即日~3日程度
印鑑証明書 市区町村役場・コンビニ 即日
相続放棄申述書 家庭裁判所(提出書類) 裁判所の審査により決定

 

書類によって取得までの日数が異なるため、相続放棄の期限(原則3か月以内)を考慮し、計画的に進める

相続放棄の期限と手続きの流れ

相続放棄の期限は3か月!期限延長は可能?

相続放棄の手続きを行う際、最も重要なのが「3か月以内に申請する」という期限の厳守です。民法第915条により、被相続人(亡くなった人)の死亡を知った日から3か月以内に家庭裁判所へ相続放棄の申述を行わなければ、原則として相続を承認したものと見なされてしまいます。もしこの期限を超えてしまった場合、例外的に延長が認められる可能性もあります。

 

■相続放棄の期限が3か月である理由 相続放棄の期限が3か月と定められているのは、相続人が遺産の内容を把握し、負債があるかどうかを確認するための合理的な期間とされているためです。特に、被相続人に借金がある場合、相続人は慎重に判断する必要があります。

 

■期限内に間に合わなかった場合の対処法 3か月の期限を過ぎた後も、例外的に相続放棄が認められるケースがあります。

 

  1. 特別な事情がある場合
    • 被相続人が亡くなったことを知るのが遅れた(海外在住など)。
    • 相続財産の内容を確認するのに時間がかかった(後から借金が発覚したなど)。

     

  2. 家庭裁判所への申請
    • 期限内に相続放棄の申請ができなかった事情を詳しく説明し、延長申請を行う。
    • 家庭裁判所が認める場合に限り、期限後の相続放棄が可能となる。

     

  3. 裁判所の判断に従う
    • 申請が認められない場合、相続財産を適切に処理する方法を考える(限定承認の活用など)。

     

 

相続放棄を検討している場合は、できる限り早めに必要書類を揃え、期限内に申し立てることが望ましいです。

相続放棄の申し立ての流れ(司法書士・弁護士に依頼する場合)

相続放棄の手続きは自分で行うことも可能ですが、専門的な知識が必要なため、司法書士や弁護士に依頼するケースも多くあります。特に、相続財産が多い場合や、債務が絡む場合は専門家のサポートを受けることで手続きをスムーズに進められます。

 

■司法書士・弁護士に依頼するメリット

 

  • 書類作成のミスを防げる
  • 期限内に確実に手続きを進められる
  • 相続人間でのトラブルを防げる

 

■依頼する場合の流れ

 

  1. 無料相談の利用
    • 司法書士・弁護士事務所の無料相談を利用し、必要な手続きや費用について確認する。

     

  2. 必要書類の準備
    • 戸籍謄本、除籍謄本、住民票の除票などを準備。
    • 司法書士・弁護士と相談しながら進める。

     

  3. 家庭裁判所へ申述書を提出
    • 司法書士が代行申請する場合もあり、スムーズに進められる。

     

  4. 家庭裁判所の審査
    • 申し立て後、家庭裁判所が内容を審査。
    • 裁判所から照会書が届くことがあり、回答が必要。

     

  5. 相続放棄の受理
    • 問題がなければ、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届き、手続き完了。

     

 

司法書士や弁護士に依頼することで手間を軽減できる一方、費用がかかるため、費用対効果を考えて判断することが重要です。

 

相続放棄の申し立ての流れ(自分で手続きする場合)

 

自分で相続放棄を行う場合、家庭裁判所への申請を正確に進めることが求められます。

 

■手続きのステップ

 

  1. 必要書類を準備
    • 戸籍謄本、除籍謄本、住民票の除票、相続放棄申述書を用意する。

     

  2. 家庭裁判所への提出
    • 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申請する。

     

  3. 審査と照会書の受け取り
    • 申請後、裁判所から追加書類の提出を求められることがある。

     

  4. 相続放棄の受理
    • 相続放棄申述受理通知書が届けば完了。

     

 

専門家に依頼せずとも手続き可能ですが、書類の不備があると申請が認められないこともあるため、慎重に進める必要があります。

相続放棄が認められないケースとは?

単純承認とみなされる行動とは?

相続放棄を行おうとしても、特定の行動をとると「単純承認」とみなされ、相続放棄が認められなくなる可能性があります。単純承認とは、相続財産を受け継ぐことを明示または暗示的に認めたと判断される状態を指します。民法第921条により、以下の行為を行うと単純承認とみなされ、相続放棄が無効となる可能性が高くなります。

 

■単純承認とみなされる行動

 

1.相続財産を処分した場合

 

- 被相続人(亡くなった方)の財産を売却したり、形を変えたりすると、相続を認めたと判断される可能性があります。

 

2.遺産を使用した場合

 

- 現金を引き出して使ったり、被相続人名義の車や不動産を利用すると、単純承認と見なされることがあります。

 

3.相続財産で借金を返済した場合

 

- 例えば、被相続人の銀行口座から借金返済を行うと、その行為自体が相続を認めたとみなされることがあります。

 

4.遺産分割協議に参加した場合

 

- 他の相続人と一緒に遺産分割協議を行うと、相続の意思を示したと判断される可能性があるため注意が必要です。

 

5.家庭裁判所への申述前に遺産の管理を始めた場合

 

- 例えば、相続財産の賃貸契約を継続したり、事業を継続したりすると、相続を受け入れたとみなされることがあります。

 

相続放棄を検討している場合は、これらの行動を慎重に避けることが重要です。

 

債権者からの請求に注意!相続放棄の落とし穴

 

相続放棄をしたにもかかわらず、債権者から借金返済を請求されるケースがあります。このような状況に陥る理由として、以下のような要因が考えられます。

 

■相続放棄後に債権者から請求されるケース

 

1.連帯保証人になっていた場合

 

- 被相続人の借金に対して生前に連帯保証人になっていた場合、相続放棄をしても連帯保証債務は消えません。

 

2.家庭裁判所に申請していない場合

 

- 単に相続を放棄する意思を示すだけでは無効であり、正式に家庭裁判所に申述しない限り、相続放棄は成立しません。

 

3.相続放棄が認められる前に財産を処分した場合

 

- 相続放棄を申し立てる前に財産を処分すると、単純承認と見なされるため、債務を負う可能性があります。

 

■債権者からの請求を防ぐための対策

 

- まずは相続財産の内容を確認し、被相続人の負債がどの程度あるのかを把握する。

 

- 相続放棄の手続きが完了する前に債権者へ返答しない。

 

- 司法書士や弁護士に相談し、正しい手続きを進める。

 

相続放棄をしても一部のケースでは責任を負うことになるため、慎重な判断が求められます。

 

遺産を一部使用すると相続放棄は無効?

 

相続放棄を検討している場合、遺産を少しでも使用すると無効になる可能性があります。具体的にどのような行為が無効となるのかを確認しておきましょう。

 

■無効となる可能性がある行為

 

1.現金を使用した場合

 

- 被相続人の口座からお金を引き出し、生活費やその他の用途に使用すると、相続の意思を示したと見なされる可能性があります。

 

2.預貯金を解約した場合

 

- 被相続人の銀行口座を解約し、現金を手元に置くと相続を認めたことになります。

 

3.不動産を売却した場合

 

- 被相続人が所有していた不動産を売却すると、単純承認とみなされることがあります。

 

4.自宅の光熱費や固定資産税を支払った場合

 

- 被相続人の名義で登録されている自宅の光熱費や税金を支払う行為も、相続を認めたと判断される可能性があります。

 

■うっかり使ってしまった場合の対処法

 

- すぐに家庭裁判所に相談し、状況を説明する。

 

- 弁護士や司法書士に依頼し、裁判所へ正式な申請を行う。

 

- 使用した金額がごく少額である場合は、相続放棄が認められる可能性があるため、専門家の意見を仰ぐ。

 

相続放棄を希望する場合は、遺産には手をつけないことが鉄則です。

相続放棄が失敗する理由と対策

相続放棄をしようとしても、手続きの不備や誤解によって失敗するケースがあります。以下に、よくある失敗例とその対策を紹介します。

 

■相続放棄が失敗する主な理由

 

1.期限を過ぎてしまった

 

- 相続放棄は被相続人の死亡を知った日から3か月以内に行う必要があります。期限を過ぎると原則として相続放棄は認められません。

 

2.必要書類の不備

 

- 相続放棄の申述には、戸籍謄本、住民票の除票、相続放棄申述書などが必要です。書類の不備があると申請が却下されることがあります。

 

3.他の相続人がすでに遺産を使っていた

 

- 共同相続人のうち1人が遺産を処分してしまうと、相続放棄が認められないことがあります。

 

4.遺産分割協議に参加してしまった

 

- 相続放棄を希望する場合は、遺産分割協議に関与しないよう注意が必要です。

 

■失敗を防ぐための対策

 

- 早めに手続きを進める

 

- 必要書類をしっかり揃える

 

- 相続放棄を決めたら、遺産に一切手をつけない

 

- 専門家(司法書士・弁護士)に相談し、適切なアドバイスを受ける

 

相続放棄は慎重に進めなければならない手続きの一つです。失敗しないためには、事前に情報を収集し、適切な準備をすることが不可欠です。

相続放棄の専門家ごとの手続き費用比較

相続放棄の相談費用の相場とは?

相続放棄の相談をする際、司法書士や弁護士の相談費用には違いがあります。無料相談が可能なケースもあるため、事前に調べておくことが大切です。

 

1. 司法書士・弁護士の相談費用比較

 

専門家 無料相談の可否 相談費用相場 備考
司法書士 〇(初回無料が多い) 5,000円〜10,000円/回 手続き依頼をすれば相談料が無料になる場合がある
弁護士 △(一部のみ) 10,000円〜30,000円/回 相続人間の争いがある場合、より詳細なアドバイスが可能

 

2. 無料相談を利用するポイント

 

  • 自治体の法律相談
    一部の自治体では、弁護士や司法書士による無料法律相談を実施している。事前予約が必要な場合が多いので確認を。
  • 法テラス(日本司法支援センター)
    一定の収入以下の人は、法テラスを利用して無料または低額で相談できる。
  • 専門家の無料相談キャンペーン
    司法書士や弁護士事務所が期間限定で無料相談を行っている場合があるため、ウェブサイトで情報をチェック。

 

3. どこに相談すればよいか?

 

  • 単純な手続きで費用を抑えたい場合司法書士
  • 相続人同士のトラブルがある場合弁護士
  • 無料でまずは話を聞きたい場合自治体や法テラスを活用

相続放棄の手続きを依頼する際の注意点

相続放棄を専門家に依頼する際、適切な事務所を選ばないと不要な費用が発生したり、手続きがスムーズに進まないことがあります。

 

1. 司法書士や弁護士を選ぶ際のポイント

 

項目 司法書士 弁護士
費用の透明性 費用が明確な事務所を選ぶ 着手金・成功報酬の有無を確認
実績の確認 過去の相続放棄の案件数をチェック 相続トラブル対応の実績を確認
相談のしやすさ 気軽に相談しやすい 複雑な案件には対応しやすい

 

2. 依頼前に確認すべき点

 

  • トータルの費用
    追加費用が発生するケースがないかを確認。
  • 対応スピード
    相続放棄は3ヶ月以内に手続きが必要なため、迅速に対応してくれるかを確認。
  • キャンセル時の対応
    依頼後にキャンセルする場合の規定を事前に把握しておく。

 

3. 手続きをスムーズに進めるために

 

  • 事前に必要書類(戸籍謄本、住民票の除票など)を用意しておく
  • 相続財産や債務の内容をできる限り整理しておく
  • 期限を意識して早めに手続きを開始する

 

専門家を選ぶ際は、単に費用の安さで決めるのではなく、実績やサービス内容も比較しながら慎重に判断しましょう。

まとめ

相続放棄をするためには、必要書類を正確に揃えることが重要です。本記事では、相続放棄の際に求められる書類や取得方法、手続きの流れを詳しく解説しました。

 

相続放棄を進めるには、戸籍謄本、住民票の除票、印鑑証明書などを準備し、家庭裁判所へ提出する必要があります。特に、戸籍謄本は被相続人の出生から死亡までのすべてのものが求められるため、本籍地が異なる場合は別途取り寄せが必要です。また、書類の取得には時間がかかることもあるため、手続きをスムーズに進めるためには早めの準備が重要です。

 

さらに、相続放棄の申述には期限があり、原則として3か月以内に申請を行わなければなりません。期限を過ぎると、自動的に相続を承認したとみなされる可能性があるため、慎重な対応が求められます。どうしても間に合わない場合は、家庭裁判所に期間延長の申請をすることも可能です。

 

また、相続放棄の手続きを司法書士や弁護士に依頼するか、自分で進めるかも検討すべきポイントです。専門家に依頼すれば手続きの負担が軽減されますが、費用がかかります。一方、自分で手続きする場合はコストを抑えられるものの、書類の記入ミスや提出遅延に注意が必要です。

 

相続放棄を適切に行うことで、不要な負担やリスクを回避できます。本記事の情報を活用し、必要書類を早めに揃えて、確実に手続きを進めましょう。

相続問題の解決をサポートします - 鶴見総合法律事務所

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お問い合わせ

よくある質問

Q. 相続放棄の手続きにはどれくらいの期間がかかりますか?
A. 相続放棄の申請には、家庭裁判所での審査が必要で、通常は申請から1か月程度で受理されます。ただし、申請書類に不備があった場合や、相続人が多数いる場合は、追加の確認作業が発生し、2か月以上かかることもあります。必要書類の準備にも時間がかかるため、期限の3か月以内に申請を完了させるためには、相続発生後すぐに手続きを開始するのが理想的です。期限を過ぎてしまった場合でも、特別な事情がある場合は家庭裁判所に延長を申請できる可能性があります。

 

Q. 相続放棄をすると他の相続人に影響がありますか?
A. 相続放棄をすると、その人は最初から相続人ではなかったとみなされるため、次の順位の相続人に相続権が移ります。例えば、第一順位である子供が相続放棄すると、第二順位の親や祖父母に相続権が移り、さらにそれらの人が放棄すると、第三順位の兄弟姉妹に相続権が移行します。そのため、相続放棄をすると他の相続人に負担がかかる可能性があり、特に債務がある場合は注意が必要です。相続放棄を検討する際には、他の相続人とも話し合いを行い、事前に対応を決めておくことが望ましいでしょう。

会社概要

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