ペットの相続を放棄したい場合のポイント!飼い主の死後に必要な手続き

query_builder 2025/04/09
著者:鶴見総合法律事務所
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親の死後、家に残されたペットを前に立ち尽くしてしまったという声は少なくありません。遺産相続の手続きの中で、動物の扱いについて明確な判断がつかないまま、気付けば飼育を続けてしまい、相続放棄が認められない事態になることもあります。ペットは法律上「相続財産」と見なされるため、たとえ人間のように法定相続人ではなくても、扱いを誤れば重大な法的リスクにつながるのです。

 

飼い主が亡くなった後の生活や世話は誰が担うのか、相続人としての責任や負担はどこまで及ぶのか。信託や遺贈といった制度を活用することで、ペットを守りつつも相続トラブルを回避する方法はあるのでしょうか。遺言書が存在しないケースでは、放棄するべき財産の線引きが曖昧になり、単純承認とみなされる可能性もあります。

 

飼主の意思が不明確なまま引き取りや飼養を始めてしまうと、民法上の解釈によっては被相続人の権利義務を引き継いだと見なされる危険性があります。専門家による正しい手続きの把握と、行政や認定NPO法人との連携が、問題解決のカギになります。

 

相続放棄を考えている人こそ、ペットの扱いに慎重になるべきです。今後の生活に不要な法的な負担を抱えないためにも、正しい知識と準備が求められています。ペットは大切な家族であると同時に、相続法上では対象となる「動産」であることを、今一度理解する必要があります。

相続問題の解決をサポートします - 鶴見総合法律事務所

鶴見総合法律事務所では、法律に関する幅広いサービスを提供しております。特に相続に関する問題については、専門知識と豊富な経験を持つ弁護士が親身になってサポートいたします。相続人間でのトラブルや遺言書作成、遺産分割協議など、複雑な問題にも丁寧に対応し、円満解決へ導きます。どんな小さな疑問でもお気軽にご相談ください。私たちは、お客様の大切な問題をしっかりと解決できるよう、全力でサポートいたします。

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相続放棄とペットの扱いについて法律上の位置づけと注意点

民法におけるペットの位置づけ

日本の民法において、ペットは「動産」として扱われます。動産は、不動産(土地や建物)以外の物を指し、ペットもこのカテゴリーに含まれることになります。この位置づけは、ペットが感情的な価値や生活上の役割を持つ一方で、法的には物の一部として扱われることを意味しています。

 

民法第85条に基づき、動産は所有権が移転することが可能な物品と定義されており、ペットもこの範疇に入ります。ペットが動産として扱われることで、相続や譲渡、売買といった法的手続きが適用されますが、ペットそのものが感情的・社会的な側面を持つため、実際の扱いにおいては他の動産とは異なる考慮がなされるべきです。

 

ペットは単なる物品とは異なり、その扱い方に関して特別な配慮が求められます。所有者が変わる場合でも、単に譲渡手続きをするだけでなく、ペットが新しい飼い主に適応できるように、適切な手続きを踏むことが重要です。

 

ペットが相続財産として扱われる場合、その価値をどう評価するかは非常に難しい問題です。基本的にペットは「動産」として相続財産に含まれますが、その価値を定量的に評価するのは困難です。珍しい種類のペットや特別な遺伝的特徴を持ったペットの場合、相続財産としてその価値が評価されることもあります。

 

そのため、ペットの相続に関しては、遺言書や生前の取り決めが特に重要になります。たとえば、遺言書で「ペットの世話を誰かにお願いする」といった具体的な指示があった場合、その指示に従う形でペットの世話が行われることになります。このような場合、遺言書に基づいてペットが適切に取り扱われることが保証されます。

 

一方で、相続放棄をする場合には、ペットの引き取り手が必要となります。相続放棄をすると、故人の財産は受け取らないことになりますが、ペットの所有権がどのように移行するかは法的に明確に規定されていません。そのため、ペットを引き取る意向がある場合は、事前に契約書を交わすことが望ましいです。

 

このように、民法ではペットを動産として扱いますが、ペットの取り扱いや相続においては、感情的な側面や法律的な注意点が多く絡みます。ペットを相続財産として考慮する際には、その特殊性を理解し、適切な手続きを踏むことが求められます。

相続財産としてのペットの扱い

相続財産としてペットを扱う際、その法的取り決めや扱い方には特別な配慮が必要です。ペットは民法上、動産として分類されるため、相続財産に含まれますが、通常の物品とは異なり、その扱いには感情的な要素や人間関係が絡むため、相続手続きにおいて注意が求められます。

 

相続が発生した場合、故人の財産は相続人に分配されますが、ペットについては財産分割の一部として取り扱われる場合があります。一般的には、ペットが相続財産の一部として考慮され、その所有権が相続人に移転します。しかし、ペットが特殊な価値を持つ場合や、その管理に関する特別な指示が遺言書に記載されていた場合、ペットの取り扱いが変わることもあります。

 

相続人がペットを受け取る際には、その後の世話や維持にかかる費用や労力も考慮しなければなりません。これらの費用は通常の相続財産分配とは異なるものであるため、相続人間で事前に取り決めを行うことが望ましいです。以下は、ペットを相続財産として扱う場合の典型的な処理方法を示した表です。

 

項目 内容
ペットの位置づけ ペットは民法において動産として扱われる。一般的に財産分割の一部となる。
遺言書による指示 遺言書により、ペットの世話を指定された相続人が行う場合がある。
特殊な価値のあるペット 特殊な品種や価値があるペットは、相続財産として高額評価される可能性がある。
費用負担 ペットの世話や維持にかかる費用(食事、医療費など)は相続人の負担となる。
相続放棄との関連 相続放棄した場合、ペットの引き取り手を見つける必要がある。

 

相続財産としてのペットの扱いは、相続手続きや遺産分割協議の中で特別な問題を引き起こすことがあります。ペットの管理にかかる費用や、ペットの性格、状態によっては引き取るのが難しい場合も考慮しなければなりません。これにより、相続人間でのトラブルを避けるために、事前にペットの世話や管理に関する合意を得ておくことが重要です。特にペットが高齢であったり、健康状態が悪い場合には、その後の責任が重くなる可能性があります。

 

ペットが相続財産に含まれない場合でも、ペットが引き取られないままで放置されることがないよう、事前にペットの取り決めを行っておくことが強く推奨されます。相続人がペットを引き取らない場合、専門の施設や第三者に引き渡す手続きが必要となるため、その手順や方法について事前に理解しておくことが賢明です。

 

このように、ペットを相続財産として扱う場合には、法的な枠組みを理解するだけでなく、実際の生活や感情面での配慮が必要です。相続人間で十分な話し合いを行い、適切な対策を講じることが、ペットにとっても相続人にとっても良い結果を生むこととなります。

相続放棄後に飼育すると単純承認になる可能性

相続放棄を行った後にペットを飼育することが、単純承認として扱われる可能性があるため、その点については十分な注意が必要です。相続放棄とは、故人のすべての財産を相続しないことを宣言する法的な手続きであり、この手続きを行うことで、相続人は相続財産の一切を受け取らず、負債も引き継がないことになります。しかし、相続放棄後にペットを飼育することは、単純承認とみなされるリスクをはらんでいます。

 

単純承認とは、遺産に対して一切の負担を受け入れ、すべての財産を承認することを意味します。つまり、相続放棄を行った後であっても、ペットを受け入れて世話をすることが「財産を承認した」と見なされてしまう可能性があるのです。この場合、相続放棄は無効となり、相続人は故人の財産全体を受け入れたことになり、故人の負債も引き継ぐことになります。

 

相続放棄後にペットを飼育し続けることが、故人の財産の一部を受け入れた行為と見なされ、相続放棄が無効とされる場合があります。そのため、相続放棄を行った後にペットを引き取る前に、慎重にその行為がどのように法的に扱われるのかを確認することが重要です。以下の表は、相続放棄後にペットを飼育することが単純承認と見なされる条件やリスクを示したものです。

 

条件・行為 内容
相続放棄後の飼育 相続放棄後にペットを飼育すると、ペットを受け入れる行為が「財産を承認した」ものと見なされ、単純承認とみなされる可能性がある。
単純承認の意味 単純承認とは、相続財産をすべて受け入れることを意味し、負債も含めて故人の財産全体を引き継ぐことになる。
相続放棄の無効化 ペットを引き取ることが単純承認に該当する場合、相続放棄は無効となり、相続人は故人の財産を受け取ることになる。
法律的リスク 相続放棄後にペットを引き取ると、相続放棄が無効になる可能性があり、遺産分割の際に負債も引き受けることになる。
ペットの取り扱い 相続放棄後にペットの引き取りを考える場合、その行為が財産承認として扱われるかどうか、専門家の相談を受けることが重要。

 

相続放棄後にペットを飼育することが単純承認になる可能性を避けるためには、法律の専門家に相談し、どのような対応が最も適切であるかを確認することが最善です。ペットが相続財産としてどのように扱われるか、またその後の取り決めがどのように影響を及ぼすかについて理解を深めることが重要です。相続放棄を行った後にペットを飼育することで、法的な責任を引き受けることがないように、事前に十分な知識を持って対策を講じることが求められます。

 

相続放棄後にペットを引き取る場合は、その行為が相続放棄の取り消しや無効化を引き起こさないよう、法的に正しい手続きを踏むことが大切です。法律的なリスクを避けるためにも、相続放棄をした後でペットを飼うことを検討している場合は、必ず専門家に相談し、必要な手続きを踏むようにしましょう。

相続放棄後にペットを引き取る方法と注意点

管理義務の範囲内での対応とは

相続放棄後にペットを引き取る場合、「管理義務の範囲内での対応」を理解することは非常に重要です。相続放棄を行った後も、ペットに対しては法律上の管理義務が発生しますが、この義務がどの範囲まで及ぶのか、放棄した財産に関連してどのように対応すべきかを把握しておく必要があります。

 

相続放棄をした場合、その人は故人の遺産に対して権利を持たないことになりますが、ペットに関しては遺産としての扱いとは異なります。ペットは民法において動産として扱われるため、遺産として相続するのではなく、「物」としての取り扱いになります。そのため、相続放棄後でも、ペットの世話や管理を行う責任は引き継がれることになります。

 

ペットに対する管理義務

 

相続放棄をした後でも、ペットに関する管理義務は発生します。この義務は、ペットの飼育に関わる世話をすること、餌やりや散歩、健康管理、獣医師による診察などです。これらの管理義務を果たさない場合、ペットが健康を害したり、社会的な問題に発展することもあり得ますので、注意が必要です。

 

具体的には、以下の点が重要となります。

 

管理義務の項目 説明
飼育環境の提供 ペットに適切な住環境を提供し、安定した生活を維持することが求められます。
健康管理 定期的な健康診断やワクチン接種など、ペットの健康を維持するための対策を取る必要があります。
食事の提供 ペットに必要な栄養を提供し、食事の管理を行うことが求められます。
生活のサポート ペットがストレスを感じることなく生活できるよう、日常的なケアを行います。

 

ペットの管理義務は、相続放棄後も引き続き責任が伴うため、適切な管理を行うことが非常に重要です。もし引き取ることができない場合は、他の親族や保護団体への相談を検討することが求められます。飼い主が亡くなった後、ペットを引き取る責任を果たすことは、単なる飼育以上に、法律的な責任を伴うことを理解する必要があります。

引き取りが単純承認と見なされないための条件

相続放棄後にペットを引き取る際に最も重要なのは、引き取りが「単純承認」と見なされないようにすることです。単純承認とは、相続放棄をしたにもかかわらず、遺産を承継することを意味します。もし、ペットを引き取ることが単純承認と見なされてしまうと、相続放棄の効力が無効となり、ペットの財産に関する一切の権利と義務を負うことになります。

 

この問題を回避するためには、適切な手続きを踏んで、引き取る際の行動が「管理義務の範囲内」で行われていることを明確にする必要があります。ペットの引き取りが単純承認と見なされることなく、相続放棄の効力を保持するための条件を理解することは非常に重要です。

 

単純承認となるリスクを避けるための条件

 

  1. 相続放棄を正式に完了すること
    相続放棄を行ったことが法的に認められていることが前提です。相続放棄の手続きを正しく行い、家庭裁判所に届出をしていることを確認してください。これにより、法的に放棄が認められます。
  2. ペットの引き取りを遺産相続とは無関係に扱うこと
    ペットを引き取る際は、あくまで管理義務として行動することが求められます。ペットの引き取りが遺産承継や相続の一部であると見なされないように、明確に「管理義務を果たすための行動」と位置づけることが大切です。これにより、相続財産の承継とは異なる扱いがされます。
  3. 引き取る前に遺産分割協議を行うこと
    ペットは動産としての扱いですが、相続放棄後にペットを引き取ることで、相続放棄者が遺産に関与していると誤解される可能性があります。そのため、相続人と相談し、ペットの引き取りについて合意がなされていることが重要です。

 

ペットの引き取りが単純承認と見なされないための具体的な方法

 

条件 詳細
相続放棄手続きの完了 相続放棄を家庭裁判所で正式に認められた後、ペットの引き取りを行う。相続放棄が確認されるまでペットを引き取らないことが重要。
遺産分割協議を経て行動 相続放棄者が遺産に関わることなく、ペットの引き取りが管理義務に基づく行動であることを証明するために、相続人との事前合意を得てから行動。
管理義務の範囲内での対応 ペットの引き取りがあくまで「管理義務」の履行であり、相続財産の一部として取り扱われないようにする。ペットの世話や健康管理を目的として行動すること。

 

これらの条件を満たすことにより、ペットの引き取りが単純承認と見なされることなく、相続放棄の効力を保持することができます。引き取り前には、必ず法的手続きを確認し、適切な管理を行うことを心掛けましょう。

法的手続きと引き取り時のポイント

相続放棄後にペットを引き取る際には、法的な手続きを正確に踏み、誤解を避ける形で行動することが極めて重要です。相続放棄を行った人が故人の財産であるペットを安易に引き取ると、意図せずして「単純承認」と見なされ、相続放棄の効力が失われる恐れがあります。これを防ぐためには、引き取りのタイミング、書類の整備、そして引き取りの動機・目的の明示が大きなポイントとなります。

 

前提として相続放棄の手続きは家庭裁判所に対して行い、その受理通知を得ていることが必要です。この通知がないまま動産であるペットの引き取りを行うと、相続意思があると解釈されかねません。被相続人の死亡から3ヶ月以内に相続放棄をしなければ、相続人は自動的に単純承認したと見なされるため、この期間内に明確な手続きを完了させる必要があります。

 

ペットを引き取る際には、その目的が「相続財産としての取得」ではなく「動物の福祉と安全のための一時的な管理」であることを明示することが大切です。そのためには、相続人または遺産管理人と文書で合意を交わし、引き取りが善意の第三者としての行為であることを証明する記録を残しましょう。動物病院での登録名義や自治体への登録などに相続放棄者の名前を使用する場合には注意が必要です。これが相続財産としての取得に繋がると判断されるリスクがあるためです。

 

以下のテーブルでは、相続放棄後にペットを引き取る際の法的な手続きと注意すべき要点をまとめています。

 

項目 内容
相続放棄の確定 家庭裁判所へ相続放棄の申述を行い、受理通知を取得していること。これにより法的に相続人でなくなる。
引き取り目的の明示 ペットの引き取りは動物保護や一時的管理のためであり、相続財産の承継ではないことを文書などで明確化。
相続人との同意書 引き取りに際し、現相続人(兄弟姉妹や配偶者など)と合意書を交わし、相続とは無関係の引き取りであることを確認。
自治体・動物病院への登録情報 登録名義を相続放棄者にせず、必要に応じて現相続人名義または共同管理名義とし、誤解を防止。
専門家(弁護士など)への相談 特に遺産が複雑な場合や相続人間での協議が必要な場合は、弁護士など法的専門家に事前相談を行うことが望ましい。

 

法的な側面での失敗は、感情的な善意によるペットの引き取りであっても、相続財産の受け入れと判断されるリスクを生みます。このようなトラブルを防ぐためにも、第三者の立場を明確にし、手続きのひとつひとつを記録しながら進めることが、相続放棄後のペット引き取りにおける最も重要なポイントです。安全かつ法的にも問題のない方法でペットを守るために、準備と確認を怠らないことが求められます。

親が飼っていたペットを引き取れない場合の対処法

引き取りを拒否した場合のペットの行方

親が飼っていたペットを引き取れない場合、そのペットがどうなるのかは非常に重要な問題です。ペットは家族の一員として大切にされてきた存在であり、放置されたり捨てられることがないように、適切な引き取り先を確保することが必要です。しかし、引き取りを拒否した場合、ペットの行き先はどうなるのでしょうか?

 

ペットの引き取りを拒否する場合、飼い主や相続人はペットに対して法的義務を負うことになります。法律上、ペットは「動産」として扱われ、物として所有されているわけではないものの、ペットに対して一定の管理責任が課せられています。そのため、ペットが新しい飼い主を見つけられない場合や、引き取りを拒否した場合、最終的には動物保護施設や行政機関に預けることになります。

 

ペットが引き取られない場合の行方として最も一般的な方法は、動物保護施設や保健所に連絡することです。多くの自治体では、動物愛護団体と協力し、ペットを引き取って新しい飼い主を見つける支援を行っています。しかし、全ての施設が常に満員であるわけではなく、施設のキャパシティに限界があるため、ペットの受け入れができない場合もあります。そのため、引き取りを拒否した場合には、まずは事前に確認し、他の手段を検討することが必要です。

 

動物保護団体やNPO法人が提供している引き取りサービスもありますが、これらの団体には引き取るための条件がある場合があります。ペットの年齢や健康状態によっては、引き取ることが難しい場合もあります。ペットが引き取られると、新しい飼い主が見つかるまでの間、施設内で十分にケアされることになりますが、時間がかかる可能性もあるため、長期的な支援体制が求められます。

 

最近では、ペットの引き取りをサポートする民間企業も増えてきました。これらの企業は、飼い主がペットを引き取ることができない場合に、専門的なサービスを提供し、適切な飼い主を見つける手助けを行っています。しかし、こうしたサービスを利用するには一定の費用がかかることもありますので、事前にその費用やサービス内容を確認してから利用することが重要です。

 

引き取り先が見つからなかった場合、ペットを放置しておくことは避けなければなりません。法律的には、ペットを放置することは虐待行為とみなされる可能性があり、飼い主には罰則が科されることもあります。そのため、引き取りを拒否する場合でも、必ず適切な施設や支援団体を通じてペットを新しい飼い主に渡す手続きが必要です。

 

最終的に、ペットを適切に引き取る方法を選ぶためには、行政機関や動物愛護団体、または民間のペット引き取りサービスと連携することが求められます。ペットを引き取れない場合でも、放置することなく責任を持って対応することが飼い主や相続人の義務であることを理解し、行動することが大切です。

 

引き取り方法の比較

 

引き取り先 対象となるペット 受け入れ条件 特徴
動物保護施設 犬、猫、その他の動物 健康状態、施設の空き状況 一時的な保護、新しい飼い主の紹介
保健所 犬、猫 飼い主が放棄する場合 施設が満員の場合、引き取り不可の可能性
NPO法人 犬、猫 健康状態、年齢 里親探しのサポート、場合によっては譲渡不可
民間引き取りサービス 犬、猫、その他の動物 費用が発生する場合あり 専門的なサポート、料金がかかる場合がある

 

このテーブルからもわかるように、引き取りの方法にはいくつかの選択肢があり、それぞれの施設やサービスに特徴があります。ペットを引き取れない場合には、まずはこれらの選択肢を検討し、最も適切な方法を選ぶことが大切です。

行政・民間の引き取り支援制度

親が飼っていたペットを引き取れない事情がある場合、多くの人が次に検討するのが行政または民間による引き取り支援制度の活用です。高齢の親が残した犬や猫などのペットを自分では引き取れないという問題は、少子高齢化と単身世帯の増加に伴い、社会的にも大きな課題となっています。引き取り支援制度にはさまざまな形があり、対応している団体や自治体、条件も異なるため、制度の内容を正確に理解し、適切に活用することが求められます。

 

行政による引き取り支援制度としては、多くの市区町村や都道府県で動物愛護センターや保健所が関与しています。これらの機関では、飼い主が死亡したり入院したりした場合に、一時的にペットを保護し、新たな飼い主を探す活動が行われています。ただし、すべての自治体が同じ制度を提供しているわけではなく、地域によって支援内容や受け入れの条件は異なります。

 

以下のテーブルは、主な行政・民間支援制度の違いを比較したものです。

 

支援元 利用対象者 支援内容 利用条件 備考
市区町村の動物愛護センター 市民(被相続人が住んでいた地域) 一時保護、新飼い主探し、情報提供 ペットの健康状態や性格、空き状況により受け入れ可否あり 相談先の行政窓口は地域ごとに異なる
保健所 原則、市内在住の元飼い主や相続人 一時預かり、必要に応じて譲渡先の紹介 原則として「正当な理由」が必要 引き取り拒否されることもあるため要確認
NPO法人 全国の一般市民 保護、医療ケア、里親募集、終生飼養プログラム 受け入れ可能な頭数や健康状態による制限 活動内容や信頼性の確認が重要
民間引き取りサービス 依頼者の希望による(全国対応可) 有料での引き取り、新たな飼い主の紹介 契約・費用が必要、ペットの条件によっては追加費用あり 登録事業者の評判確認が必要

 

民間の引き取り制度は、NPO法人や動物保護団体、動物病院と連携する企業などが提供しており、行政の制度に比べて柔軟な対応が可能な場合があります。終生飼養プログラムを提供している団体では、引き取り後も高齢のペットや病気を抱える動物が適切なケアを受けられる体制が整っており、安心して任せることができる選択肢となります。

 

ただし、民間支援には費用が発生するケースが多く、引き取り時に契約書を交わす必要があるため、信頼性の確認や支払い条件のチェックは欠かせません。ペットの状態によっては、追加の医療費や介護費が必要になる場合もあります。事前に見積もりを取り、対応内容について詳細に確認することが重要です。

 

自治体によっては、ペットの終生飼養や里親探しを支援するための補助金制度を設けているところもあります。こうした制度を活用することで、経済的負担を軽減しつつ、ペットにとって最適な環境を整えることが可能になります。

 

支援制度を利用する際には、必ず事前に各自治体の公式サイトや動物愛護センターに連絡を取り、必要書類や手続きの流れ、所要日数などを確認しておくことが求められます。特にペットが高齢、病気、もしくは攻撃的な性格を持っている場合には、受け入れ可能な施設が限られるため、複数の選択肢を同時並行で検討することが現実的です。

 

ペットの引き取り支援制度は、あくまで「最終的な受け皿」ではなく、できる限り生前から飼い主本人や家族が準備を進めておくことが望ましいとされています。信頼できる団体や施設と早い段階から連携し、引き取りが必要になった際にスムーズな引き渡しが行えるよう、情報収集と計画立案が重要となるのです。

まとめ

相続放棄を検討する中で、飼い主の死後に残されたペットの扱いは、法的にも感情的にも見過ごせない問題です。民法上ではペットは「動産」として相続財産に含まれ、その引き取りや飼育を行うことで相続の意思があったとみなされる可能性があります。単純承認と判断されれば、放棄の意志が否定され、多額の負担や責任を負うことになるおそれがあります。

 

相続放棄を選択する場合、ペットの扱いについても慎重な判断が求められます。管理義務の範囲内での世話は認められますが、生活を共にし始める、医療費を支払うといった行為は、財産の処分と判断される可能性があるため注意が必要です。専門家のもとで、手続きを明確に記録に残し、飼育継続を避けるための代替措置を講じることが求められます。

 

自治体の保健所や、認定NPO法人による一時預かりや里親マッチングなどの支援制度を活用することも一つの方法です。ただし、行政機関の対応は地域によって異なる上、動物福祉の観点からも継続的な支援体制が十分ではない場合もあります。そのため、飼主が生前のうちにペット信託や負担付遺贈を設け、死後の飼育方針や財源確保をしておくことが理想的です。

 

相続におけるペットの扱いは、感情と法律が複雑に絡み合う領域です。万が一の時に後悔しないためにも、今から準備を進めることが重要です。感情に流されず、正しい手続きと制度を把握し、家族同様の存在であるペットの未来を守る行動が、飼い主としての最後の責任となります。

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よくある質問

Q. 相続放棄をした場合でもペットの世話を続けたら法的に問題になりますか?
A. 相続放棄後にペットの飼育を継続すると、民法上の「単純承認」と判断される可能性があります。たとえば、被相続人の飼っていた犬や猫を引き取り、日常的な飼育費用や治療費を支払っていると、相続財産を管理する行為を超えたと見なされるリスクがあります。管理義務の範囲内での一時的な世話は認められていますが、生活を共にし始めた場合や金銭的負担を継続的に負った場合は、放棄の効力を失う恐れがあるため注意が必要です。弁護士など専門家のアドバイスを受け、行動を記録しておくことが望ましいです。

 

Q. ペットを引き取れない場合、保健所に預けると費用はどれくらいかかりますか?
A. 保健所や動物愛護センターがペットを引き取る場合、地域によって対応や手続き、費用の有無が異なります。一部の自治体では無料で対応してくれる場合もありますが、多くは数千円から数万円程度の負担が発生することがあります。年齢や健康状態によって引き取りを拒否されるケースもあります。最終的には殺処分になるリスクもあるため、引き取り支援制度や認定NPO法人の活用も含めて比較検討が必要です。ペットの命と生活を守るためにも、制度の特徴と費用を事前に確認することが重要です。

 

Q. 一人暮らしでペットを飼っている場合、死後のために備える費用はどのくらい必要ですか?
A. 一人暮らしでペットを飼っている場合、自身の死後に備える費用としては、飼育期間中の生活費、医療費、預かり費用などが想定されます。たとえば、中型犬であれば年単位で十数万円以上かかることもあり、寿命までの費用総額は相当な額に達することがあります。これらを踏まえて、エンディングノートや遺言書に後継者の情報や生活資金を明記し、ペット保険や信託を活用することで、遺された動物が困らない体制を整えることが重要です。飼い主が生前に行う終活対策が、残された家族や相続人、そしてペットにとっての安心材料になります。

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