相続放棄を自分でやるには?兄弟甥姪への影響と注意点

query_builder 2025/06/29
著者:鶴見総合法律事務所
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相続放棄を自分でやりたいと考えているあなた。
「弁護士に依頼せずにできるのか」「家庭裁判所の手続きや必要書類が不安」と感じていませんか?

 

相続放棄は被相続人の死亡から原則として【3か月以内】に申述しなければならず、その期限を過ぎると原則として相続人としての義務をすべて引き継ぐ「単純承認」とみなされる可能性があります。借金や負債などが相続財産に含まれている場合、それを知らずに対応を遅らせることは、経済的な損失につながる重大なリスクです。

 

とはいえ、すべての人が弁護士や司法書士などの専門家に依頼できるとは限りません。費用の問題や、身近な手続きだからこそ「自分でできるならそうしたい」と考える方も多いのではないでしょうか。実際に家庭裁判所に提出する申述書や必要書類の収集、財産の調査、相続人間の関係調整までを自分で進めることは、一定の手順と知識があれば不可能ではありません。

 

この記事では、相続放棄を自力で行うために必要なステップを、専門家監修のもとでわかりやすく解説しています。相続人としての立場や順位、代襲相続による影響、放棄後のトラブル防止策など、失敗しやすいポイントにも焦点を当てています。

 

最後まで読むことで、手続きの流れだけでなく、甥姪や配偶者への影響を含めた実務的な対応方法も習得できます。正しい知識と準備があれば、相続放棄は自分で対応することが可能です。今、不安や疑問を抱えている方こそ、ぜひ読み進めてみてください。

相続放棄の手続きと法的サポート - 鶴見総合法律事務所

鶴見総合法律事務所では、相続問題をはじめ、離婚問題やDV、ハラスメントなど、幅広い法的な問題に対応しております。お客様のニーズに合わせた柔軟な対応を心掛け、個別のケースに最適なアドバイスとサポートを提供しています。特に相続放棄に関しては、負担を軽減し、迅速かつ確実に手続きを進めるために、専門的な知識と経験をもとにサポートしています。法的手続きの進行が不安な場合でも、しっかりとしたフォローを行い、お客様が安心して進められるよう支援いたします。どんなお悩みでも、まずはご相談ください。お客様に最適な解決策を提供できるよう尽力いたします。

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相続放棄を「自分でやる」とは?司法書士や弁護士との違いと判断基準

相続放棄を自力でやる人の目的と背景!どんな人が自分でやるべきか?

 

相続放棄を「自分でやる」と決める人は少なくありません。家庭裁判所へ提出する書類の多くが自身で収集可能であり、インターネット上でも情報が手に入る時代だからこそ、「専門家に依頼せず費用を抑えたい」と考える人が増えています。ただし、その背景には明確な動機があり、すべての人に適しているわけではありません。

 

まず多く見られるのが、「費用負担を抑えたい」という金銭的理由です。相続放棄は、原則として被相続人の死亡を知った時から3か月以内に申述する必要があります。この申述には、申述書や戸籍謄本などの必要書類の提出が求められますが、これらを自力でそろえれば、司法書士や弁護士への依頼費用を節約できます。実際、家計に余裕がない人や、相続財産が明らかにマイナス(債務超過)である場合、「できることは自分で」と考えるのが自然です。

 

次に多いのは、「内容が比較的シンプルである」と判断したケースです。たとえば、被相続人が親で、財産が負債のみである場合、相続放棄の意思は明確であり、調査や書類の収集も限定的で済むことが多いため、自分で完結できると考える人がいます。

 

また、家族間の関係が円満であり、利害の対立が発生しない場合も、自力での手続きを選びやすくなります。逆に、遺産分割や相続順位などで争いが予想される場合は、専門家による法的整理が求められるため、自力では困難です。

 

このように、「誰が」「なぜ」自分でやるのかには明確な意図が存在します。しかし、あくまで自己判断で進める以上は、誤解や不備による申述却下リスクもあります。特に相続放棄照会書が送付された場合、その記載内容によって受理が左右される可能性もあるため、知識の浅さが致命的にならないよう慎重に対応する姿勢が不可欠です。

 

司法書士と弁護士の違いと選び方!費用・相談範囲・対応力で比較

 

相続放棄の手続きを専門家に依頼する場合、多くの人が迷うのが「司法書士か弁護士か」という選択です。この違いを明確に理解することで、自分にとって最適なパートナーを選ぶ手助けとなります。

 

まず、司法書士は主に「書類作成」と「手続き代行」に強みがあります。相続放棄申述書の作成や家庭裁判所への提出書類の整備、必要書類の案内などが主な業務範囲です。対して、弁護士は「法律相談」「代理人としての交渉力」「トラブル対応」に長けており、複雑な相続問題を含む場合や他の相続人との紛争が想定される場合に、強い味方となります。

 

司法書士と弁護士の違い

 

比較項目 司法書士 弁護士
主な業務範囲 書類作成、家庭裁判所への申述補助 法的助言、交渉、代理人としての対応
対応可能範囲 照会書への対応はアドバイス程度 法廷での代理、紛争対応まで可能
費用相場 約3~5万円程度 約5~10万円以上
向いている人 内容が明確で書類サポートのみ必要な人 争いや複雑なケースがある人
メリット 費用を抑えつつ専門的なサポートが可能 幅広い対応が可能でトラブルにも強い

 

選び方のポイントとしては、相続財産の調査が完了しており、特に紛争も見込まれず、単に「必要書類の作成」や「提出書類のチェック」だけを希望するのであれば、司法書士のサポートで十分といえるでしょう。一方で、相続人間の意見の対立や、相続放棄の前提となる情報が曖昧な場合は、トラブルの火種を避ける意味でも弁護士への相談が安心です。

 

また、弁護士の場合は「借金返済義務の有無」や「限定承認との比較検討」など、より高度な法的判断が必要な場面でもアドバイスを受けられるため、将来のリスク回避という意味での安心感が異なります。

 

自分でできるケースとやめた方がいいケースの線引き

 

相続放棄は自分でできる手続きではありますが、誰もが安全に完了できるとは限りません。誤った判断は「単純承認」とみなされ、借金などの相続財産を引き継いでしまうリスクすらあるため、慎重な見極めが求められます。

 

まず、自分でできるケースとしては、以下のような状況が挙げられます。

 

【自分でできるケース】

 

  • 被相続人に借金があり、遺産が明確に負債のみである
  • 相続人が一人で、手続きの混乱が生じにくい
  • 相続開始から3か月以内で、必要書類の取得に問題がない
  • 家庭裁判所へのアクセスが良く、平日の日中に動ける
  • 照会書の対応に不安がない、文書作成が得意

 

一方、以下のようなケースでは、自己判断での相続放棄はリスクを伴い、やめた方が良いとされています。

 

【やめた方がいいケース】

 

  • 被相続人の財産状況が不明で、債務と資産が混在している
  • 他の相続人と対立がある、あるいは複数人が関わる相続
  • 相続放棄の期限が迫っており、必要書類が間に合わない可能性がある
  • 相続財産の一部を処分・使用してしまった可能性がある
  • 裁判所からの照会書に適切に対応できる自信がない

 

相続放棄の成否を分ける最大のポイントは「誤解と不備の回避」です。相続放棄申述書には、被相続人との関係性や、申述の理由を記載する必要がありますが、不適切な表現や記載漏れは申述却下につながります。また、戸籍謄本や除籍謄本、住民票除票などの必要書類の不備や取得漏れも重大なミスとなります。

 

判断材料

項目 自分でできる場合 やめた方がよい場合
財産の状況 明確に負債中心 内容が不明または混在
相続人の数 一人または協力的 複数で対立あり
手続きの期限 余裕がある 期限まで数日しかない
書類準備 自分で収集可能 書類取得に不安あり
法的判断 簡易で明白 限定承認との比較が必要

 

このように、自分で進めるか否かは、状況次第で明確に線引きが可能です。もし少しでも不安があるならば、後悔のない選択のためにも、早めに司法書士や弁護士などの専門家に相談することが賢明です。相続放棄は「正確性」と「迅速性」が命。自己判断による手続きミスは、時に高額な負担へとつながることを忘れてはなりません。

熟慮期間を過ぎた場合の対応と例外

相続放棄において「熟慮期間」と呼ばれる3か月の期限は、法律で厳格に定められた重要なルールです。被相続人の死亡を知った日から3か月以内に相続放棄の申述を行わなければ、原則として単純承認(相続を受け入れる意思ありとみなされる)とされてしまいます。しかし、この期間を過ぎた場合でも、いくつかの「例外」が認められるケースがあるため、期限を超えてしまったからといって諦める必要はありません。

 

たとえば、「被相続人に借金があることをまったく知らなかった」ケースや、「遺産の存在が非常にわかりにくかった」ケースでは、家庭裁判所が個別の事情を考慮し、熟慮期間の起算点を遅らせてくれる可能性があります。これは民法915条に基づいた法的な取り扱いであり、遺産の存在を知って初めて「熟慮期間」が開始されるという考え方です。

 

熟慮期間の開始が遅れる可能性のある具体例

 

ケース 熟慮期間の起算点と例外の有無 対応可能性
遺産が借金中心で存在が伏せられていた 借金発覚の時点から3か月と判断されることがある 高い
実家との疎遠・音信不通で死亡通知がなかった 死亡の事実を知った日が起算点となる可能性がある 高い
遺産が信託口座などで発覚が難しかった 遺産内容の把握時から熟慮期間とみなされる場合がある 中程度
故意に相続財産の情報が隠されていた 不利益を受けた側の保護のため例外が認められる可能性 高い

 

このように、民法の規定上、相続放棄の熟慮期間には「絶対期限」と「相対的起算点」があり、形式上3か月を過ぎていても、必ずしも放棄が無効になるとは限りません。ただし、例外が適用されるには家庭裁判所への「事情説明書」や「証拠書類」の提出が求められるため、個人での対応には限界があります。こうしたケースでは、司法書士や弁護士といった専門家の判断を仰ぐことで、適切に手続きを進めることが可能です。

 

熟慮期間の例外を主張するには、次のようなステップが求められます。

 

  1. 被相続人の死亡日と発見日を証明する書類の収集
  2. 借金の発覚日やその状況に関する証拠の用意
  3. 家庭裁判所に対する事情説明書と証拠書類の提出
  4. 例外適用を求める申立書の作成
  5. 裁判所の判断に応じた追加対応(補足説明、再提出など)

 

こうしたステップを一つひとつ丁寧に踏むことで、熟慮期間の過ぎた相続放棄でも認められる可能性があります。決して放棄の権利を失ったと早計に判断せず、自分に合った法的対処法を検討することが、後悔しないための重要な判断基準となるのです。

相続放棄の対象と順位を正しく理解する!兄弟・甥姪・配偶者への影響とは

相続順位の基本と代襲相続の仕組み

 

相続は「誰がどの順で財産を受け取るのか」というルールが民法で定められており、これを「相続順位」といいます。この順位の理解は、相続放棄を正しく判断するうえで極めて重要です。また、被相続人の直系の相続人が先に死亡していた場合には「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」が発生し、次の世代が代わって相続する仕組みになります。

 

民法で定められている法定相続順位と代襲相続の仕組み

 

相続順位 相続人 備考
第1順位 子供(直系卑属) 子供が死亡している場合は孫が代襲相続する
第2順位 父母(直系尊属) 子供や孫がいない場合に相続する
第3順位 兄弟姉妹 兄弟姉妹が死亡している場合は甥や姪が代襲相続する
配偶者 常に相続人になる 他の相続人との組み合わせで割合が決まる

 

代襲相続の特徴

 

  • 子供が死亡していた場合、孫に相続権が移る(代襲)。
  • 兄弟姉妹が死亡していた場合、その子(甥姪)に相続権が代襲される。
  • 代襲は1代限りで、孫や甥姪の子(曾孫や大甥姪)までは及ばない。

 

このように、誰が相続人となるかは、相続放棄にも大きな影響を与えます。例えば兄弟が放棄すれば、その代襲として甥や姪が突然相続人になることもあるのです。相続を放棄したい場合には、こうした順位や代襲の流れを正確に理解しておかないと、望まぬ形で相続が進行するおそれがあります。

 

兄弟が放棄した場合、甥や姪にどう影響するか

 

兄弟姉妹が相続人であり、そのうちの一部または全員が相続放棄をすると、相続権は自動的に次の順位へ移ります。その際、重要なのが代襲相続です。兄弟姉妹が死亡していた場合、その子である甥や姪が代わって相続権を持つようになります。

 

パターン別、甥姪への影響

 

ケース 兄弟の状況 甥姪への影響
兄弟が健在で放棄 放棄した兄弟の子は代襲されない 他の兄弟姉妹が相続人となる
兄弟が既に死亡 甥姪が代襲相続人になる 放棄するとさらに順位が下がる
甥姪が未成年者 法定代理人(親)が放棄判断を行う必要あり 手続きに家庭裁判所の許可が必要な場合も

 

例えば、被相続人に子供や親がいない場合、第3順位として兄弟姉妹が相続人になります。その兄弟姉妹がすべて相続放棄をした場合、次の相続権は「すでに亡くなっている兄弟姉妹の子」である甥姪に移ります。このとき甥姪が複数人いれば、人数で按分して法定相続分を引き継ぎます。

 

注意点

 

  • 甥や姪が相続人となるケースでは、本人の知らないうちに相続人になっていることが多く、注意が必要です。
  • 相続開始から3ヶ月以内に放棄の意思表示をしないと、法的には「単純承認(すべてを相続)」とみなされるリスクがあります。
  • 特に地方に住む甥姪の場合、書類のやり取りなど実務面でも負担が大きくなりやすいため、専門家への相談が推奨されます。

まとめ

相続放棄を自分で行うという選択肢は、正しい知識と計画があれば十分に実現可能です。特に被相続人の死亡後3か月以内という申述期限を守り、必要書類の収集や手続きの流れを正確に把握しておくことが重要です。相続放棄は一度受理されると撤回できないため、事前に相続財産の調査や順位関係の確認を徹底することが、後悔しない判断につながります。

 

「兄弟が放棄すると甥姪に影響が及ぶのか」「配偶者や子供に責任が回らないか」など、多くの方が抱える不安も、代襲相続や順位、家庭裁判所での扱いを知ることで見通しが明確になります。相続放棄は法律上、個別に判断されるものであり、他の相続人が放棄しても自動的に影響を受けることはありません。だからこそ、自分や家族の状況に合わせて柔軟に対応する力が求められます。

 

この記事では、実務に沿った手順や注意点を丁寧に解説しながら、自力で相続放棄を進める際に陥りがちなミスも網羅しました。特に申述書の記載ミス、戸籍謄本や改製原戸籍などの取得漏れ、負債の見落としは、あとでトラブルを招く原因にもなり得ます。

 

放置してしまえば、借金を含む遺産すべてを引き継ぐ「単純承認」と見なされてしまう可能性もあります。しかし、正しい判断と準備ができれば、相続放棄は経済的損失を防ぐ有効な手段となります。弁護士に頼らず自分でやりたい方こそ、知識武装と慎重なステップで、自分と家族の未来を守る行動を始めてみてください。

相続放棄の手続きと法的サポート - 鶴見総合法律事務所

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よくある質問

Q.相続放棄を自分でやる場合、戸籍謄本や改製原戸籍は何通必要ですか?
A.申述人の人数や家族構成により異なりますが、基本的には被相続人の出生から死亡までをすべて証明するために、戸籍謄本・除籍・改製原戸籍などが最低でも3通から5通以上必要になることが多いです。さらに申述人本人の住民票、配偶者や子供の戸籍なども必要なケースがあります。これらの書類を全国の各役所に郵送で請求する場合、1通あたり450円程度の発行手数料と郵送料がかかります。準備不足による不備が最も多い項目ですので、事前に一覧を確認して計画的に取得しましょう。

 

Q.申述書に記入ミスがあると却下されることはありますか?
A.はい、記入ミスや必要事項の記載漏れがあると、家庭裁判所から照会書が届き再提出を求められるか、内容によっては申述が却下される可能性もあります。特に相続人の順位や放棄理由、署名や押印の箇所に不備があると、手続きが無効と判断されることがあります。実際に、提出した内容の不備によって却下通知を受けた人の体験談も存在し、再提出が認められないケースも報告されています。確実に受理されるためには、記入前に申述書の見本を確認し、慎重に進めることが重要です。

 

Q.相続放棄で兄弟が放棄すると甥や姪にどう影響しますか?
A.兄弟が相続放棄をすると、民法上の代襲相続が適用され、兄弟の子にあたる甥や姪が新たな相続人となる可能性があります。具体的には、被相続人に配偶者や子供がいない場合、兄弟姉妹が相続順位の対象となり、その兄弟姉妹が放棄したときには、甥や姪にその権利が移ることになります。このため、甥や姪が相続放棄の申述を行わない限り、自動的に相続人として義務を負うこととなり、借金や負債などの相続財産を引き継ぐリスクもあります。自分だけでなく、家族や親族への波及効果を踏まえた判断が必要です。

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